ダイレクトリクルーティングの運用工数はどれくらいかかるか
ダイレクトリクルーティングで発生する7つの工程と、実際に確保できている時間のギャップを整理しました。どこを機械に寄せられて、社内に何が残るのかまで書いています。
「媒体を契約したのに、送れていない」——ダイレクトリクルーティングでいちばん多い状態です。
原因は、やり方を知らないことではありません。送るまでに発生する作業の量と、実際に確保できる時間が合っていないことです。この記事では、何にどれだけ手がかかるのか、どこを外に出せるのかを書きます。
先に結論:問題は1回の作業量ではなく、止まること
ダイレクトリクルーティングは、1件あたりの作業は短いのに、毎週止まらず続ける必要があるという性質を持っています。
そして採用に使える時間は、事業の都合で不定期にしか空きません。この非対称が、「中途半端なまま止まる」の正体です。
- 1週間動く → 母集団が動き出す
- 2週間止まる → 返信のタイミングを逃す、候補者が他社に決まる
- 再開する → また最初の温度から
止まると、それまでの作業がほぼ無駄になります。総量の問題ではなく、連続性の問題です。
1. 何に手がかかるのか
送付1件までに、実際にはこれだけの工程があります。
① 検索条件を設計する(最初とチューニング時)
求める人物像を、媒体の検索条件に翻訳する作業です。ここが雑だと以降がすべて空回りします。
② 候補者を見て、要件と照らす(毎週)
リストを1人ずつ開いて、経歴・現職・志向を見て、合うかどうかを判断します。ここがいちばん時間を使います。 10人送るために、その数倍を見ることになります。
③ 判断基準を言葉にする(最初)
「なんとなく合う/合わない」を、他の人に渡せる形にする作業です。ここを飛ばすと、誰かに任せた瞬間に基準がずれます。
④ 文面を書く(ポジションごと+個別調整)
テンプレートだけでは返信が来ません。相手ごとに、なぜあなたなのかを1〜2行入れる必要があります。
⑤ 送る(毎週)
最初の90日で書いた目安では、3か月で300件(週19件)です。
⑥ 返信に対応する(不定期・スピードが命)
返信はいつ来るか分かりません。そして返信が来た瞬間が、候補者の関心が最も高い瞬間です。ここで数日空くと他社に流れます。この工程だけは、まとめて処理できません。
⑦ 日程を調整する(不定期)
候補日を出し、調整し、リマインドする。1件あたりは短いですが、件数が増えると無視できません。
2. 実際に確保できている時間は、週30分
専任の人事がいない会社では、この①〜⑦のすべてを経営者が担うことになります。
そして当社の支援先でいちばんよく見るのは、採用に実際に使えている時間が週30分程度という状態です。採用が重要でないからではありません。他の業務のほうが、その週の優先順位として上に来るためです。事業をやっている以上、これは自然なことです。
週30分で、②の候補者確認と④の文面作成と⑥の返信対応を回すのは無理があります。だから止まります。気合の問題ではなく、配分の問題です。
3. どこを機械に寄せられるか
工程を見ると、性質が2つに分かれます。
| 内容 | 誰がやるか | |
|---|---|---|
| 判断が要る | ③判断基準を決める、⑥面談で会うかの最終判断、面接 | 人(社内) |
| 繰り返し | ②要件との照合、④文面の下書き、⑤送付、⑦日程調整 | 仕組みで効率化できる |
当社は、こうした繰り返しの工程を社内のオペレーション基盤として仕組みにし、AIも活用しながら効率化しています。ただし最初から仕組み任せにはしません。
- 最初は担当者が御社と一緒に、会いたい方の基準をすり合わせる
- 基準が揃ってきた段階で、仕組みに乗せる範囲を広げる
- 判断が要る場面には、引き続き担当者が入る
基準が揃うまでは手がかかります。ここを飛ばすと精度が出ないので、最初の数週間は必ず人が入ります。
人が必ず対応するのは、⑥の返信対応と面接です。
4. 外に任せた場合、社内に残るもの
すべてが外に出せるわけではありません。残るものは3つです。
判断基準の合意。 どんな人を採るかは、現場の責任者と経営が決めることです。ここは代われません。最初の数週間、基準をすり合わせる時間だけは確保していただく必要があります。
面接。 会って決めるのは社内の仕事です。
返信対応の速度に対する意思決定。 誰がいつ返すかを決めておく必要があります。実際の返信作業は外に出せますが、「返信を最優先にする」という運用ルールは社内で握らないと機能しません。
逆に言えば、これ以外は外に出せます。当社の場合、社内で必要な時間は隔週30分〜月次の定例と面接が基本です。「工数ゼロ」とは言いません。それでは採用が進まないからです。
5. 自社でやるか、外に出すか
自社で回せます: ②の候補者確認に、週2〜3時間を安定して割ける人が社内にいる。その人が数か月にわたって安定して動ける。判断基準を言語化できている。
外に出したほうが早いです: 採用に使える時間が週30分程度しかない。動く週と止まる週の波が大きい。基準を言語化する前に、まず母集団を動かしたい。
費用の比較は採用代行(RPO)の費用相場はいくらかに、判断の分岐は1人目の人事を採るか、外部に任せるか、自分たちで続けるかに書いています。
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いま何件送れていて、どこで止まっているか。そこが分かると、どの工程を外に出せばいいかが決まります。まだ始めていない段階でも構いません。