リファラル採用を仕組みにする方法
リファラル採用を「たまたま起きるもの」から経路の1本に変える方法。比率30〜60%の目安、狩猟型と農耕型の使い分け、仕組みにするために決める3つを書いています。
創業期の採用は、ほぼ100%がリファラルです。共同創業者、前職の同僚、知人の紹介。ここまでは自然に起きます。
問題は、そこから先が続かないことです。声をかけられる範囲を一巡すると止まります。この記事では、リファラルを「たまたま起きるもの」から「経路の1本として管理できるもの」に変えるやり方を書きます。
先に結論:比率で管理する
採用経路全体に占めるリファラルの比率が、30〜60%あると組織として良い状態になりやすいという見方をしています。
これは「リファラルを増やせばいい」という意味ではありません。
- 100%に近い(創業期に多い):範囲を一巡すると止まる。採用のスピードが人脈の広さで頭打ちになる
- 30〜60%:他の経路と併用できていて、かつ社内に紹介したいと思う人が一定いる状態
- 0%に近い:紹介が起きない理由が社内にある可能性がある。採用の問題ではなく、組織の状態を見るサイン
リファラルは、採用経路であると同時に組織の状態を測る指標でもあります。自社をよいと思っていない人は、知人を紹介しません。比率を見る意味はここにあります。
1. 「頼めば紹介してくれる」は仕組みではない
多くの会社で起きているのは、思い出したときに社内へ声をかける、という運用です。これだと3つの問題が起きます。
1つ目は、頼まれた側が何をすればいいか分からないこと。 「いい人いたら紹介して」では動けません。どんな人か、何を伝えればいいか、紹介したあとどうなるかが分からないためです。
2つ目は、一度きりで終わること。 声をかけた直後は思い出しますが、1週間後には忘れます。人は自分の仕事をしているので、当然です。
3つ目は、断りにくさが残ること。 紹介した相手が不採用になったとき、紹介した社員に気まずさが残る。この経験が一度あると、次から紹介されなくなります。
仕組みにするというのは、この3つを設計に落とすということです。
2. 2つのやり方:狩猟型と農耕型
リファラルには、性質の違う2つのやり方があります。会社のカルチャーによって、向くほうが変わります。
狩猟型は、期間を区切って社内に働きかけるやり方です。採りたいポジションを明示し、社員のつながりを一緒に洗い出し、声をかける先をリスト化して、順に当たっていきます。短期で母集団を作れる代わりに、頻繁にはできません。年に1〜2回が限度です。
農耕型は、紹介が起きやすい状態を日常的に作っておくやり方です。会社の状況を社内に共有し、記事や発信の材料を渡し、社員が自分の言葉で語れるようにしておく。すぐには効きませんが、続けるほど確率が上がります。
どちらか一方ではなく、普段は農耕型で土壌を作り、必要なときに狩猟型で刈り取るのが現実的です。土壌がない状態で狩猟型だけをやると、1回目で枯れます。
3. 仕組みにするために決める3つ
誰に頼むか。 全社員に一律で頼むのは効率が悪いです。ポジションによって、つながりを持っていそうな人は変わります。エンジニアの採用なら開発チーム、営業なら営業チーム。加えて、前職の規模や業界も見ます。
何を渡すか。 口頭で「いい人いたら」だけでは動けません。渡すのは、①どんな人を探しているか(求人票ではなく、1〜2行で言える形)②会社の今を説明できる材料(記事・資料)③紹介の流れ(誰に言えばいいか、そのあとどうなるか)の3点です。②が採用広報と重なります。社員が自分で説明しなくても、記事を送れば伝わる状態を作っておくと、紹介のハードルが下がります。
いつ聞くか。 定例に組み込むのがいちばん続きます。月1回、5分でよいので「最近つながった人でいませんか」と聞く枠を作る。思い出してもらう機会を定期的に作ることが、実質的な仕組みです。
あわせて、紹介した社員が気まずくならない設計にしてください。選考結果は紹介者に直接伝える、不採用の場合の理由は本人の資質ではなく要件の話として伝える、といった運用です。ここを雑にすると、次の紹介が止まります。
4. リファラルだけでは埋まらない
比率30〜60%という目安が意味するのは、残りの40〜70%は他の経路が要るということです。
採用の経路には、媒体・エージェント・スカウト・SNS・イベント・リファラルがあります。当社ではこれをポートフォリオとして扱い、「どの経路から何%集めるか」を最初に決めます。決めずに始めると、動かしやすい経路だけに寄って、結果としてリファラル100%か媒体100%になります。
必要な面談数から逆算する方法は採用を立ち上げる最初の90日に、経路ごとの費用は採用代行(RPO)の費用相場はいくらかに書いています。
5. 向いている場合と、向いていない場合
向いています: 創業期をリファラルで乗り切ったが、そこから伸びなくなった。社員が10名前後で、まだ全員が会社の方向を語れる。採用が続く見込みがある。
先に別のことをしたほうがよい: 直近で退職が続いている。社員が会社の現状をうまく説明できない。この状態で紹介を頼むと、断られるだけでなく、社内の空気に影響します。まず組織側を見てください。
相談する
リファラルの比率をいまどれくらい持っていて、どこまで上げられるかは、会社の状況によって変わります。狩猟型と農耕型のどちらから入るかも含めて、御社の状況を伺ったうえでご一緒に考えます。